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ツイッターで書いてたバナシン。状況は書いてる本人にもよく分かっていません。








 胴をひしゃげさせたデスティニーが海面めがけて落ちて行くのを呆然と見送りかけ、自分の頬を張る。フォーメーションを組んでいたZがウェブライダーに変形し飛び出した後ろをNT=Dを発動させ追いすがった。
「シンさん!!」
庇われた、また。


 救護室の中からぼそぼそとした話し声が聞こえる。扉の外から聞き耳を立てながら、まんじりともせずバナージは立っていた。
「援護する必要はなかっただろ。バナージは気づいていたし、俺も傍にいた」
 カミーユの静かな声がベッドに寝かされているシンを叱責する。事実だけを告げる声は呆れているようにも聞こえた。
「分かってるよ。分かってたけど」
 歯切れの悪いシンの言い方にまた、体が勝手に動いたと言うのだと思っていた。いつもそうだ、バナージやシンジを庇うシンは苦笑しながら逃げていく。だが、
「バナージはまだユニコーンに慣れてないだろ。ロクな戦闘訓練だって受けちゃいないんだ」
 息がつまる。室内のカミーユも予想外の答えだったのか数瞬言葉に迷っていた。
「だけどな・・・」
 苦みの混じるカミーユの声を遮ってシンはいっそ穏やかに続ける。どうか、やめてくれないか、バナージの痛いところをつく言葉に胸元を握りしめた。
「分かってるって言っただろ。バナージは俺とは違う、お前やキラさん、アムロ大尉側の人間だ」
 でも、そう続けられそうになる言葉に我を忘れて医務室に飛び込んだ。
「そんなの、自己満足じゃないですか!」
 額にまかれた包帯、頬に貼られたガーゼ、検査着の下がどうなっているかなんて考えたくない。元々シンは色の白い方だが今は血の気がひいてさらに青白かった。
 奥歯を噛みしめてつんと痛む目頭に力を込める。
「新人だからって、庇われて!そうやって怪我されてちゃたまらないですよ!!」
かするくらいユニコーンならどうとでもない、それを割って入って来たのはシンだ。そのままバナージの気づいていなかった攻撃からも体勢を整えないまま庇って撃墜されたのも、最終的にはシン自身の責任になるのだろう。
 ぼろりとこぼれた涙を袖で拭って引き攣った喉で息を吸う。明瞭になった視界には冷たい目をしたシンがじっとバナージを見据えていた。光の映りこまない赤い瞳は作り物のようで背筋が震える。
「庇ったわけじゃない。守るのは俺たちの義務だ。悔しかったら強くなるしかないだろ」 
 肩を並べて戦っているんじゃなかったのか、かっとなって口を開こうとするバナージの肩をいつのまにか立ち上がっていたカミーユが強くつかんだ。
「シン、言いすぎた。バナージ行くぞ」
 ずるずると引きずるようにして連れ出される中目をそらしたシンの震える唇がつらかった。
「悪いな、ちょっと気が立ってるみたいだ」
 連れ出された廊下で肩を竦めながら言うカミーユ相手に恨み言を言うつもりはない、怒りが過ぎ去ってしまえば残るのは虚しさだった。
信頼されていると思っていた、ずっと戦ってきたカミーユ達に比べれば確かに経験は少ないが気持ちは負けていないと思う。
「…別に、バナージやヒビキを信じてないわけじゃないんだ。俺たちだって最初から機体を使いこなせたわけじゃないし、今だってアムロ大尉には及ばないしな」
 深い藍色の瞳が遠くを見るように細められた。
「ただ、俺たちは…たくさん失ってきたから、過敏になっているのも許してやってくれよ」
 かつて、この海域で僚機を失った。それはバナージの与り知らない事だったが、カミーユの目のうちに潜む悲しみに黙って言葉を飲み込んだ。
「怪我が治ったらちゃんと謝りに行かせるからもう少し辛抱してくれ」
 苦笑しながら医務室に戻るカミーユを見送ってバナージはぎゅうと拳を握りしめた。

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