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ツイッターで流してた馬鹿馬鹿しい総帥とシン。
4辺りから飽きてます。




その1

 ブリーフィングルームではとても口に出せない話題だったのでカミーユは自室に帰ってから重々しく口を開いた。 
「シン・・・その、いいのかお前。大尉と戦うことになって」
 シンとクワトロ大尉、現在はシャア・アズナブル大佐と名乗っている男の関係を知っているものは今の部隊ではかなり少ない。 自分と一緒に嫌々ながら応援していたメンバーは合流していなかった。
 丸い、赤色の瞳が不思議そうにカミーユを見てすこしだけ首を傾げながら支給品ではない私物のモバイルを持ち上げた。
「うん?あぁ、LINEしてるから」
 なんでもないように、事実シンにとっては何でもない事なんだろうが、あっけらかんとした様子で言い放ったシンに眩暈をおぼえつつ聞き返す。 
「まじで?」 
 口調が崩れたのはご愛嬌だろう。カミーユは先ほどまで悩んでいた自分は何だったのだろうと差し出されたモバイルを覗き込んだ。
 確かに、あの男だ。
「あぁ。ネオ・ジオンの話になったら既読スルーされるけど」
 もう慣れたし。そう言って返信を始めるシンに頭痛を覚え頭を抱えた。 
「・・・いいのかそれ」
 苦笑で返されたそれにあの男、やはり一度完膚なきまでに叩き潰す、と決意を新たに。



その2
 手袋に包まれた筋張った手がシンの前髪をつまんだ。
「少し、痩せたか?」 
 透き通ったバーミリオンが敵となった男を見上げ薄い唇が笑みを形づくる。
「あぁ。どっかの金髪オールバックがなにも言わずバックれたせいで荒れた親友心配してたら3キロほど」
  あ、これは怒っているな。かなり。
「………」 
思わず絶句していると溜息をついたシンに手を払われた。
「黙るくらいなら言うなよー。もー」
もし合流できる未来があるなら、拳の一発くらいは甘んじて受けよう。
 背後では青ざめたシャアを見てアムロが腹を抱えて笑い転げていた。

その3
 一方的な協定の破棄に部隊全体がショックを受けていた。カミーユもなんだかんだと言いながら、あの男をまだ信じていたい。
「・・・あの人なんて?」 
 いつもと変わらない様子のシンに何か聞いてないかと水を向ける。自室のベッドに寝転がって本を読んでいたシンはカミーユをちらりと見てモバイルを差し出した。
「スルーされてイラっとしたからブロックしてやった」 
 さすがに腹に据えかねたらしい。見てのいいのかと思いつつアプリを開けば以前と変わらない様子で会話をしている二人に少しだけ安心した。
「でもこれ・・・」
 そうだ、ブロックしたのなら名前が出てこないはずではないだろうか。
「そしたら泣きそうな声で電話して来たから解除した」 
 カミーユの中でなんとか最後まで残っていた一欠けらの尊敬ががらがらと音を立てて崩れ落ちていく。
「・・・まじか」
肩を落とすカミーユにシンが同情するように頷いた。

その4
シン(イラッ) 
カミーユ「どうした?携帯握りつぶしそうな顔してるぞ」 
シン「アクシズのご飯美味しくないからカップ麺送ってくれって」 
カミーユ「あの人ジャンクフード食べるのか?」 
シン「ムカつくからプラントのレーション送ってくる」 
カミーユ(腹立てても送るのか・・・)

その5
 
バナージ「シンさん、あの、頭の上でパキーンってやつ教えてください」 
シン「え?」 
バナージ「カミーユさんがそういうのはシンさんとキラさんに聞いたらいいって」 
シン「あー。うーん・・・どうしようもないときは 、金髪で顔隠してる胡散臭いやつぶん殴る。って気持ちで」 
バナージ「えっ?」 
シン「うん。殴り倒す。って想像して」 
バナージ「・・・えっ!?」
カミーユ「とか言いながら帰ってきたら甘やかすなよ」 
シン「いや殴るけど」 
カミーユ「えっ?」 
シン「殴るけど。カミーユ嫌な気持ちだっただろうし」 
カミーユ「シン・・・」 
アムロ「俺も便乗させてもらおうかな」 
バナージ「よく分からないけど・・・標的の金髪の人逃げてください」

その6 9月の話 
ハマーン「なんで総帥は部屋の隅でキノコを生やしているんだ?」 
ギュネイ「はぁ。誕生日にカミーユとシンのちゅープリが送られて来たようで」 
ハマーン「ちゅー?」 
ギュネイ「はい」 
ハマーン「鬱陶しい。私室に帰しておけ」 
ギュネイ「はっ!」

その7
 骨ばった指先がシャアの頭にのばされ整えていた髪をかき混ぜた。 
 むっすりした表情のシンを叱ることはできずただされるがままに立ち尽くす。 
「髪の毛細いんだから、こんなにぎゅっとしてたらそのうちガムリン大尉みたいになりますよ」 
前髪をすいて整え満足げに手を離したシンはようやく少年らしく瑞々しい唇に笑みを刷いた。久しぶりに見た微笑みに少しの安堵を感じシャアもまた頬を緩める。何しろ出会い頭に殴られるくらいの覚悟はしていたのでこの程度で気が済むのならばいくらでもやればいい。
「シャア大佐。次、連絡もなくバックれて、大事な話スルーしたらもう二度と口聞きませんから」 
 目が、笑っていない。ぶわりと冷や汗が吹き出て伸ばしかけていた手を引っ込める。 
「いい大人なんですからホウレンソウくらいちゃんとしてください。報告はともかく連絡と相談くらいできたでしょ。アスランといいなんで一人で抱え込もうとするんだよ」 
つんと横を向いて拗ねている様子を装っているが、恐らくキレている。 
 ちらちらち様子をうかがっていたカミーユに目で助けを訴えるが静かに首を振られた。
 アムロは面倒ごとのにおいを察しとっくの昔に姿を消している。これは可及的速やかに反省のポーズを取るべきかと脳内でシミュレーションを始めたとき小さなつぶやきが落とされた。 
「あなたが帰って来てくれて、よかった」 
よくよく見れば先ほどシャアの髪をといた指先は震えている。
「・・・すまなかった」 
細い肩を抱きしめようと手を持ち上げるが 
「謝るくらいなら最初からしないでくださいよ!!」 
右ストレート。骨ばった拳が油断していた腹筋を打ち抜き思わず崩れ落ちる。 
 アムロ大尉と叫びながら走り去る後ろ姿。ひらりと舞う赤い制服が痩身によく似合っている。視界の端ではカミーユが「本当に殴った」と頭を抱え、ユニコーンのパイロットが口をあんぐりとあけてこちらを見ていた。



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