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艦これアスシンその2。短いです。







 爆発音が響いた。フライングアーマーの上から振り返った視線の先で黒煙を上げて落ちていく僚機が、親友が呆然とした顔でカミーユを見ていた。
 永遠にも感じられる一瞬にガラス球のバーミリオンがきらきらと輝いてわずか細められ、細く重い手足が海面に叩きつけられ、高い高い水しぶきが上がる。
 叫び声は一体誰のものだっただろう。艤装が重すぎて水面下に沈めば彼らは自力では浮かび上がれない。カミーユは何もかも放り出してアンカーをベルトにくくりつけると迷うことなく海面に飛び込んだ。
 暗く、冷たく、重い。こぼれ出たオイルが筋を引いて海底に向かっている。気ばかり焦ってなかなか深度がとれず思い切り水をかいた。海上からライトで照らされる一瞬、かすめた赤い装甲を目にとめて腕に力を込める。
 自分の装甲が軋むのも構わずカミーユは一心に僚機を目指して泳ぎ進む。腹部の大破した、無残な姿に手を伸ばしゆらゆらと力なく揺れている腕を掴もうと指を開く。
 その手を掠める攻撃、暗闇からぬるりと伸びてきた手が目を閉じたシンの体を這いまわり拘束した。
 不気味なほど光る真紅の目、能面のような笑い顔を張り付けたそれが急速潜航を敢行しあっという間に深海へ引きずり込まれる。追いすがろうと水圧に負けそうになる装甲を無視して水をかく、だがベルトに繋がれたアンカーで海面に引き上げられた。
「カミーユ!無茶はやめるんだ!」
 真っ青な顔をしたロランを振り払おうと暴れるカミーユの頬をファが張った。呆然と海面を見下ろす深海の瞳。
 波間には、破壊された翼とオイルだけが残っている。




「という夢を見たんだ…」
 朝からどんよりと暗い雲を纏わりつかせていたアスランに無理やり口を割らせればなんと言う事を言い出すのだろう。
「やめてくれませんかね!!そういう不吉なこと言いだすの!!!」
 たまらず怒鳴りつければ捨てられた子犬のような碧の瞳がシンを見上げ言葉に詰まる。
「…お前がもう少し無茶を減らしてくれたらこんな夢を見ずに済むんだがな」
 ため息交じりの声は安堵を含んでいて非常に居心地が悪い。シンは言い返そうとした声を飲み込んで視線をそらす。
 どうやら、過日の大破騒動がまだ後を引いているらしい。面倒くさいなぁ、と思いつつもしょんぼりとしている上司に近付く。
「ほら、ちゃんと目の前にいて動いてるじゃないですか。轟沈なんてしてませんよ」
 まだ。と付け加えた言葉にアスランがさらに落ち込み、進まない書類整理にレイがこめかみに青筋をたててもシンには何故アスランがそれほど気に病むのか理解しきれなかった。




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