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最初はカミシンにしようと思って書いていました。が、書きかけてる話で総帥がシン君をでれっでれに誑し込んだのでクワシンになりました。





 シンの瞳はコーディネイターらしく綺麗に澄み切った赤色だ、とカミーユは思っている。銀の盆に薄く滴らせたような透明な赤の奥に感情のゆらめきが映るのが美しく、笑みに細められる形が綺麗だった。 
 だが、これはいけない。
 回線を繋いでいるままカミーユは何度目かの攻撃を凌ぎ距離をとった。まったく!なんて日だ! 
 決してあいつを怒らせてはいけないと口すっぱく言い聞かせたというのに鉄華団の血気はやったMS乗りたちは聞いちゃくれない。
 ヘルメットのバイザー越しにシンの瞳の奥が轟々と燃え盛り、火種が弾け、そしてすう、と薄くなる。薄く水の張った表面から一層奥が暗く、しかし苛烈に煌めいた。「下がれ!」声をかけたがいったいどれくらいのやつらが聞いていることだろう。
 表情はいっそ静かで穏やかにさえ見える。小さな口が一文字に引き結ばれているが余計な力の抜けたそれが一層危険なことはカミーユが一番分かっていた。
 まず、相手の紫の機体に肉薄していたアキヒロが吹き飛ばされた。訳がわからなかったことだろう、カミーユだって乗り切れない今目で追うのがやっとだ。鱗粉のように光の帯を撒き散らし、デスティニーが漆黒を引き裂いてZを追う。
 「シン!」迷いはあるのか、心は決めたのか、お前の正義はそこにあるのか。言いたいことはたくさんあったが口から出たのは名前を呼ぶ声だけで応えるのも囁くような自身の名を呼ぶ声だけだった。悔しくて臍を噛む。カミーユも鉄華団、ひいてはクーデリアを信じ切っているわけではない。
 それでも、ギャラルホルンにいるのは違うだろう。違うと言ってほしかった、「カミーユ下がれ!」鋭い赤がはっとしたようにカミーユから視線を引きはがし回線が切れる。割り込んできた白いファンネルに少しだけほっとしながら戦況を確認する。
 どうやら敵は(シンを敵とは言いたくないけれど)撤退するようだ。三日月操るバルバトスが指揮官機になにかしらの痛手を与えたのだろうか。 
「カミーユ!次は全力で来いよ」 
 決意の籠った言葉だった。涼やかな声が名前を呼んでくれるのがカミーユは一等好きだったが、まったく。
 再び回線がつながる。薄暗い中で燃え盛るバーミリオンがひたと紺碧を見定めた。つばを飲み込み奥歯を噛みしめる。カミーユの答えを待たず、置き土産だとでも言うようにビームライフルで威嚇射撃を繰り返したあと派手な紋章のついている艦に戻るデスティニーをいつまでもじっと見ていたかった。

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