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鉄血世界にZ部隊をぶちこんでどうにかガエアイを幸せにできないかと思った次第です。

ガエアイ、クワシン、ちょっとだけカミシン。

アインちゃんとシン君が女体化してます。もうちょっと続くのじゃよ。





 時空振動で飛ばされるのにもなれたものだ。シンはモニターに映される見慣れぬ宇宙にため息を飲み込んだ。周囲を見渡しても友軍の姿は見えない。レーダーもエラーばかりを映して信用ならないのでシンは今度こそちゃんとため息を吐いてシートに体を預けた。
 ノーマルスーツは着ていない。当然だ、シンは今の今までプラントの割り当てられたデスクで書類仕事をしていたのだから。脱力してペダルに足をかける。転回してぐるりを見回すがやはり目視で確認できるものはない。
「まいったなぁ」
 SOSを出してはいるがはたしていつまでかかるだろうか。酸素残量は十分、ノーマルスーツと食料も十分積み込んではいる。これは時空振動によって世界規模の迷子が起こる想定で新しく配備された装備だ。美味しくはないプラントのレーションだがもともと小食のシンにはあまり関係がない。
 ノーマルスーツに着替えておくべきだろうとわかってはいたが億劫さが勝ちシートを離れふわりと漂う。
 だってもう少しで休暇だったのだ。久しぶりに取れた長期の、地球に降りて神一家の家にお邪魔する予定だったのに。
 目の前を白いプリーツスカートがふわりと舞う。これくらいは着替えておこうか。シートの後ろに設置されたボックスを振り返りやはり面倒臭くなってやめた。
 狭いコックピットの中ですぐ天井に行き当たりシンは体をひっくり返す。背中を天井に預け両足を抱え込んだ。
 歌でも流そうか、バサラやシェリルの曲はバジュラに有効なため配備されているはずだ。コンソールに手を伸ばしかけて再び膝を抱え込む。酷く静かだった、こんな日は初めてだ。
 いつだってシンの行く先には戦いが付きまとい、カミーユ達が居てくれた。目を閉じれば感じる静寂にひとりぼっちの心が震える。さみしいのか、心細いのか、どちらも飲み下すことができずやはりなにか音楽でもかけようとシートに手をついた。
『こちらはギャラルホルン監査局、SOSを受信したがそちらはどこの所属だ』
 ピー、と言う機械音とともに音声のみの通信が入電する。シンは慌ててシートにつき操縦体勢についた。
「俺はプラント、ザフト所属、特務隊FAITHのシン・アスカだ!時空振動によって転移した模様。救助感謝する」
 『プラント?』おうむ返しに問いかけた声が存外に若い女性のものだったことに少しだけほっとする。同時にプラントの名もシンの事も知らない様子に落胆した。良くも悪くもシンの名はそこそこ知れ渡っている。いい意味のものは少ないが。
『……はっ、了解しました。自力航行はできるだろうか?まずは我々の艦に誘導する』
 なにがしかの通信が行われたのだろう。押し殺したような低い声が導くのに合わせて最小限まで切っていた電圧を上げ、翼を展開させると音声の向こうではっとするような吐息が漏れたのが聞こえる。苦しそうな『ガンダムフレーム』という声も。
 この世界にもまたガンダムがあるのか。それも良いものではなさそうだな、と苦笑を唇に刷いてようやく目視で確認できるようになった深緑の見慣れない機体についてブースターを作動させた。
『失礼でなければそちらの階級をお伺いしたい』
 未だ顔も合わせないまま生真面目に問いかける彼女に苦々しい気持ちが胸中に広がる。この説明も面倒臭いのだが仕方ないだろう。
「申し訳ないがザフトに階級はない。一応隊を預かる身ではあるが、現在は実働部隊としては解散している。好きに呼んでくれ」
 FAITHで赤服ではあるのだがシンの権限など戦闘行為に割りこめる程度のものでしかない。それも、割り込んでも叱責を受けないぐらいのものであって立場としては複雑だった。
『階級が…?失礼した。ではアスカさん、前方に見える艦に私の後ろについて着艦していただけるでしょうか』
「了解した。…なぁ、あんたの名前は?」
 自分だけが名乗るのもおかしいだろう。シンは努めて軍人らしい口調をしていたのだがここにきて初めて自分らしい砕けた口調で彼女に問いかける。
『失礼しました。自分はギャラルホルン統制局火星支部所属、アイン・ダルトン三尉であります』
 堅苦しい返しに辟易しながらシンはようやく見えてきたダルトン三尉の艦へと顔を向けた。



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