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シンちゃんにプリーツスカートをはかせたい一心で女体化にしていました。





 SOSを発していた所属不明機を伴い着艦したアインはヘルメットを取りコックピットから身を躍らせた。
「アイン!どうだ」
 低重力の中危なげなく着地するとすべるように、しかし優雅さを失わない足取りで目を輝かせた上官が現れアインは驚きながらも姿勢をただす。
「はっ!どうやら先ほどの謎のエネルギー反応によって引き起こされた現象に巻き込まれたようです。本人は状況を正しく理解しているようですが」
 あっけらかんと巻き込まれたのだと言ったシン・アスカと名乗る士官はまだコックピットから出てきていない。あまりに能天気な口調で言うものだからアインはそれが演技なのかどうかすら見極められなかった。
「しかし特務三佐、ブリッジでお待ちいただければ安全を確認した後連れて行きましたが」
 仮にもギャラルホルンの頂点たる七つ星の一門を預かるボードウィン家の嫡男なのだ。微かに顔を歪めてガエリオを見上げるといたずらっこのように微笑まれた。
「それではつまらんだろう。ガンダムフレームに乗る人物をまずはこの目で確認したかったしな」
 開くぞ、そう告げられアインもまた見慣れぬ機体に目をやった。どういう原理なのか、佇むそれは先ほどまでの鮮やかな色を失っている。見惚れるほど美しかった赤紫色の翼もまた収納されていた。
 背後で他の乗員が銃の安全装置を外す音がする。万が一、罠であった時はこの身を盾にしてでも隣に立つ貴人を守らなければとアインも踵に力を込めた。
 まず現れたのは小さな頭だった。アインと同じように短く切られた黒髪がふわりと遊び、小さな顔を隠している。それから手、肩、と上半身が乗りだし次の瞬間思いがけず、と言ったようにざわめきが広がった。
 ふわりと揺れる白いプリーツスカート、短いそれから伸びる足は白く華奢なほど細い。重力の具合を確認しているのか、念のためと言った様子でアンカーを使いスカートを片手で押さえながら降りる姿は可憐だった。
 なぜノーマルスーツを着ていないのだろう。アインは奇妙な状況に内心首を傾げたが油断なく少女にも見えるシン・アスカを見つめた。
「救援感謝します。こちらの責任者の方とお話させていただきたい!」
 囲まれている状況をざっと見渡したシン・アスカが両手を上げながら声を張り上げる。鮮やかな赤い軍服の襟元は緩められていて細い首筋が見えた。
 白皙の顔、というのはこういうことなのだろうか。透き通るほど白い肌に小さく色づいた唇、意志の強そうな凛々しい眉にとどめの様に大きく鮮やかな赤目が長い睫に縁どられている。
「俺がこの部隊を預かるガエリオ・ボードウィンだ。…アイン」
 腕を組んで答えた上官に赤い目がひたと視線を向ける。囁くように続けられた声に小さく了解を示しながらシンに近付く。
「失礼。身体検査をさせていただきます」
 肩、胸、腰と順に触って武器を携帯していないかを確認する。
「あんたがダルトン三尉?」
 猫のように愛嬌のあるつり目がちらりとアインを見る。身長は同程度か、女性にしては高いがこの華奢さでガンダムフレームを操るのかと軽く触っただけでもわかった腰の細さに驚き、間近で見た足の細さにもまた驚いた。全く表情には出さなかったが。
「はい、私がアイン・ダルトン三尉です。特務三佐、終わりました」
 シンの問いに答えながらも上官に顔を向ける。手を降ろしかけて自分の襟元が乱れていることに気付いたシンが慌てたようにボタンを留めた。上官が風を切るように闊達とした足さばきで近づいてくる。「でか…」思わずと言ったように隣のシンから洩れた言葉にアインは内心で同意した。気をつけの姿勢をとりながら何があってもいつでも割りこめるように体を緊張させる。
「ありがとうございます。自分はザフト所属、特務隊FAITHのシン・アスカです」
 頭に右手をやって顔の前に翳すポーズをとって溌剌と礼を言ったシンにガエリオは鷹揚に頷いた。
「無事で何より。俺はギャラルホルン監査局所属、ガエリオ・ボードウィン特務三佐だ。状況の説明を願えるか?こちらは時空振動と言う現象を感知していないのだが」
 高い位置にある童顔を見上げながら話すのは首が痛くなるだろう。アインは不測の事態が起こらないように伏し目がちにシンをうかがう。
「はっ。ではデスティニーに資料がありますので取ってまいります。よければみなさんの前でご説明したいのですが」
「そうか、では後ほどブリッジへ来てもらいたい。アインを案内につけよう。ところで…アスカ殿」
 名前で言いよどんだのは敬称をつけるべきか否かだろう。年若く少女のように見えるが襟に輝く徽章と特務隊とわざわざ自己紹介につけるのだから実はガエリオよりも地位が高い可能性も否定できない。
「そのポーズは敬礼なのだろうか?」
 上官から飛び出した思いがけない言葉にアインもまた一瞬目を瞬かせ伏していた目を上げた。
「はっ!?…ああ、いえ失礼いたしました。はい、ザフトではこのようにするので」
 思わずと言った様子で飛び出した声はあからさまに困惑していた。そうかと納得したようにガエリオは幼く見える笑顔を振りまいてアインに顔を向ける。
「着替えたらアスカ殿をブリッジへ案内しろ。俺は先に行っている」
 は、と短く答えギャラルホルン式の敬礼をすればシンが興味深そうに無機物にも見えるガラス球のような目をアインに向ける。
「あの、シンで結構ですよ。俺はただの一パイロットですし・・・」
 困ったように微笑んで口を開いたシンに薄水色の瞳が向けられる。アインは再び気をつけの姿勢に戻り口をつぐんだ。他の軍属とはいえ気安すぎないだろうか、あるいは階級がないという彼女の所属の気風なのかもしれない。
「そうか?まぁいい、アイン後は頼んだぞ」
 マントを翻し立ち去る後姿を見送ってシンを振り返る。不安げな表情をしているのかと思ったが口を閉じ自機を見上げる姿はあまりにも自然体だった。
「申し訳ありませんが着替えてまいりますのでこちらで少々お待ちください」
 慇懃に言って踵を返す。資料を用意すると言っていたがどれほど時間がかかるだろうか、待たせるわけにはいかないなとアインはシャワーを諦め小さなため息を飲み込んだ。

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