2012/05/16 (Wed) 23:13:01 おっぱい格差

タイトルひどくてすいません。それもこれもツイッターで巨乳カミーユと絶壁シンのおっぱい格差がネタになったのが悪い。

　シンは目の前の光景に絶望的な気持になりながら立ち尽くした。かつてオーブ軍に追われ囲まれた時ですら味わったことのない絶望だ。
　もちろん、彼女は自分の体形が恵まれたものではないことは重々承知している。それでも兵士としての能力は悪くないと自負しているし負け惜しみだがあんなもの邪魔でしかないと突っぱねても見た。だが、これは
「わ、私のでも・・・駄目なのね・・・」
隣に立つルナマリアも頬が引き攣っている。目の前では途方に暮れたカミーユが似合わないザフトのパイロットスーツを着てシンの方をうかがうようにみていた。
　きっかけはなんだったのだろう。そもそも政府機関からの支援をほとんど受けられないZEUTHの物資事情は常にひっ迫している。それでも協力機関からの援助でなんとかやりくりして（時にパイロットたち自身すら金策に奔走し）いた。それでも足りないものは出てくる。特にこの制服関係、そしてパイロットスーツというものは予備がほとんどない。そんな中カミーユのパイロットスーツが破損してしまったらしい。らしい、というのはシンがその場にいなかったからなのだがとてもではないが着られる状態ではないようだ。
　物の作りに差異はあるもののこればかりはなくては困る。幸い地上にいるため少々の空気漏れなどは問題にはならないがヘルメットは重要だ。どれだけ機体が優れていても所詮操るのは生身の人間なのだから。
　そういうわけで比較的背格好と年齢の近いシンとルナマリアに白羽の矢が立ったわけだが問題が出てきた。上記のようにシンは恵まれた体形をしていない。はっきりいってしまえば貧相だ。胸はぺたんこ尻も少年のように小さい。当然サイズも一番小さいものになってくる。対するルナマリアはすらりとした体の割に胸はそこそこの大きさがある。伸縮性もあるため多少無理はきくだろうと着てみたのだが
「ザフトのは胸部にプロテクターがあったな・・・忘れてた」
カミーユ自身もため息交じりに自分の胸を見下ろしていた。ファスナーが、上がらない。太ももとウエストはなんとか入ったもののザフトのパイロットスーツは他の軍や研究機関のものとは違い胸部を守るプロテクターがついている。当然のごとくそこに伸縮性はない。無理やり押しつぶせば入るだろうがそれでは苦しい。機体の操作に影響が出るだろう。
「うーん、ちょっと見せて」
ルナマリアが調整しようとカミーユに近寄る。重力下であるしヘルメットを固定する分にもそう問題はない。ただ前を開けていればいいだけだ。ルナマリアが少し離れたところにカミーユを座らせ顎を上げさせている、どうやら首元だけ閉めてヘルメットを固定してみるようだ。
　シンは自分の体を見下ろしてしょんぼりと肩を落とした。ない。もう絶望的なほどにない。
「どうしたんだね」
不意にかけられた声に驚き飛び上がる。慌てて振り返れば不思議そうな顔をしたクワトロが立っていた。手には端末が握られている辺り百式の調整にでも来たのかもしれない。
「あ、カミーユがパイロットスーツ破いちゃったみたいで。それで、俺とルナだったら身長近いし代用できないかなって」
俺のはそもそも当てにされてなかったですけど、もごもご口の中で言うシンをクワトロは黙って見下ろした。
「カミーユ着やせするんですよ！俺こんな体型だし、ていうかカツのとかでも俺使えそうだし・・・」
段々とうつむいていくシンの頭を見下ろしてクワトロが苦笑する。ぽんぽんと優しげな手つきでシンの頭を大きな手が撫でた。
「気にすることはない。君はまだ１６歳なんだ、これからいくらでも成長する余地はあるさ」
手袋越しの手が硬い髪の毛をすいて撫でる。されるがままになりながらもシンはクワトロを見上げ、でもと唇を尖らせた。
「男の人って、おっきい方が好きですよね？」
謀らずしも上目づかいになっていることにシンは気づいていない。
　ふむ、とクワトロの手が止まる。そのまま頬を滑らせ顎をとる仕草があまりにも自然でシンは疑問にも思わないまま素直に従った。
「シン、こんな話を知っているか」
長身のクワトロが微かに上体を倒して顔を覗き込んでくる。顔を覆うサングラスのせいで表情が窺えないがなんとなく悪寒がする。
「胸というのは揉まれれば大きくなるという、」
試してみるか、とつづけられそうだったのかどうなのか。
「あんたって人はあああぁぁ！！！」
それは俺の台詞です、アムロ大尉。
　目の前でカミーユの正拳突きとアムロの投擲によってぶつかったハロのせいで吹き飛んだクワトロからその先の言葉を聞くことは終ぞなかった。