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刹那×ニール女体化を夏に出します。合同で


姉さんに恋してる刹那とライルの話。










 「あいつの遺品だ」投げられた言葉は端的でライルはつい目の前に飛んできたケースを受け取り損ねた。深い茶色をした皮のパスケースが慣性に従いふわふわと漂っている。ライルが一人でシミュレーションしている時を狙ったのだろう格納庫には刹那と二人きりだ。
 動揺を飲み込みパスケースを取る。二つ折りのそれをなんとなしに開いて目を眇めた。
「これは、あんたが持ってた方がいいだろ」
縮小されたフォトの一枚はおそらくCBが武力介入をする以前に撮られたと思われる集合写真。もう片方には嫌そうな刹那の腰をがっちり抱いて笑う隻眼の
「それが一番新しいものだ。クロウ・ブルースト達がおもちゃのポラロイドで撮影したからそれほど画質は良くないが」
無表情で淡々と言う刹那にため息を返す。
写真の中の刹那はずいぶん小さく見えた。破壊事変の彼を知る者はみな大きくなったと言うがそれでもまだ姉の方が背が高いだろう。
 男女の双子と思えないほどよく似た顔。それでもライルが決して刹那には向けないだろう表情をしたニールがそこにはいた。
 用はすんだとばかりに立ち上がろうと腰を浮かしかけた刹那につい声をかける。
「あんた姉さんとどういう関係だったんだ?」
ちょっとした興味だ。まさか姉が8つも年下の少年に手を出したなど考えてはいない。
「仲間だ。信頼していた」
ほんの少し顔を強張らせた青年にライルは内心首を傾げる。微笑んでもいいくらいの話題だったと思うが。
「それに、俺は・・・」
赤銅色の瞳がわずかに翳る。まだ少年の域を出ていない幼げな姿。写真の中の嫌そうな顔と目の前の青年が重ならずライルは目を瞬かせる。
 はくりと口を動かしたものの刹那の喉はそれ以上言葉を発することを拒否した。
「次のミッションまでまだ時間がある。機体に慣れておけ」
すっと表情を切り替えた刹那がコクピットに乗り出していた身体を引いて立ち上がった。青年の生真面目な言葉にライルはただ肩を竦めて返事にする。
「好意を持っていた」
ハロにシミュレーションの再開を告げようとしていた口を閉じる。
 絶句して己を見上げるロックオンに構わず刹那は遠くを見ていた。
何てものを遺していったんだ姉さん。
「愛されたかった。今でも」
そのまま刹那は格納庫内に身を踊らせ自機の整備に向かった。
「ハロ・・・今の刹那の言葉、全消去しといてくれ」
片手で額を抑え嘆息する。
 憧れだったのだろうか。だが少年の初々しく可愛らしい思い出と言うには少し重すぎる。
 手の中のパスケースを見てライルは眉を寄せた。どういう想いでこれを撮らせたのだろう。腕をとられ腰をホールドされた状況の刹那はおそらくかなり密着していたはずだ。だからこの表情なのだろうか。
 姉は少年を可愛がっていたのだろうか。少年の望みとは違う形で。
「勘弁してくれよぉ・・・」
脱力したライルにハロが心配の声を掛ける。無機質なAIの声がありがたかった。

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